SEXとGENDER - サンガの寅さん

私自身のセックスとジェンダーは同一であるからだろうが、トランスジェンダーについて、理解はできるが、実際のところは「わからない」し「実感ができない」。

12月10日のNHK「おはよう日本」で以下の報道があったが、私にはどう理解してよいかわからない。

心と体の性不一致トイレ利用で通報のトラブル

大阪の商業施設で戸籍上の性別は男性で性自認は女性の客が、女性用トイレに入り、警察に通報されるトラブルがありました。
専門家は、どうすれば多様な性を認めながら共に生きていけるか考えていく必要があると指摘していて、警察は刑事事件として扱うべきか慎重に検討しています。

捜査関係者によりますと、ことし５月、大阪市内の商業施設で戸籍上の性別は男性で性自認は女性の４０代の利用客が女性用トイレに入り、施設から警察に通報されるトラブルがありました。
警察が事情を聞いたところ、「子どものころから女性用のものが好きで、自分は女性だと自覚している。戸籍上は男性なのでだめだとわかっていたが、女性として女性用トイレを使った」と話したということです。
この利用客は、職場では男性として働いているということですが、休みの日には女性の服を着て外出していたということです。
その後の捜査でも、心と体の性が一致しないトランスジェンダーであることが確認されたということで、警察は刑事事件として扱うべきかどうか慎重に検討しています。
商業施設にはほかの客から、「週末のたびに女性の服を着た男性がトイレを使っていて、怖くて利用できない」という苦情が寄せられていたということです。
NHKNEWSWEB https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211210/2000054932.html

ここで戸籍上の性別、といわれているが、その変更の要件は、
　20歳以上である。
　婚姻をしていない。
　未成年の子供がいない。
　生殖機能を永続的に欠く状態にある。
　移行する性別の性器に近似する外観を備えている。
　2名以上の医師による性同一性障害の診断が必要。
とハードルの高いものになっている。

トランスジェンダーはFTM（SEXはfemale）とMTF（SEXはmale）に分類される（性自認がQuestionのケースには触れません）が、このケースでは、MTFならではの特徴があると思う。この方は職場では男性として働いており、休みに女性の服を着て外出し、商業施設で女性トイレを利用したところ、一般女性客からの苦情で通報にいたった、というものです。設備など、理解度の問題もあるが、この場合、まず配慮されなければならないのは、怖れを感じた女性たちに対して、であろう。ここにも力関係が働いている。FTMの方が男性トイレに入ってきても（そんなケースはあるのだろうか）、驚きはするが、脅威にはならない。
この報道では、解決案としてオールジェンダーで利用できるトイレ、というのがあったが、多くの女性はこれを利用しないだろう。また、トランスジェンダーにしても、性対象まで含めると、多様なのだから、ひとくくりにしてよいのだろうか。

論点を整理すれば、トランスジェンダーとはSEXと、自身の望むGENDERとが一致していないことを指している。それは、社会規範として押し付けられているGENDERに拒絶を感じており、その社会的なあらわれとして、が当人にとっての問題となっている。SEX上での特徴はGENDERを象徴するものとして、二次的に不快なもの、となっているのではないだろうか。

SEXによる区分けは、性的対象として搾取されている女性への福祉としてある、と思っています。それには、衣服売り場・女性専用車両・トイレ・浴場・ジムなどがある。衣服・下着売り場は、外からも見える公共設備なので問題はない。女性専用車両は、MTFの方は性的に男性に対しての不安はないだろうから、必要としないだろう。トイレ・浴場は、閉じられた、SEXによって分けられた空間であるのだから、まず、SEXを前提としなければいけない。女性専用のジムなどは、値踏みのような性的視線に不快感を持つ女性のための施設であるから、会員になる必要があるので、女性以外は入ることはできない。

MTFの人たちは、性自認は女性であるにも関わらず、男性の多くからは性的な視線を向けられることはなく、面識のない女性にとっては男性と認識されてしまう。そのことをふまえた上で、社会全体として、SEXとGENDERに対して、どのように折り合いをつけてゆくのか。だがこの問題を、解決することはできないだろう、ただ、軌道修正を行い続けるしかない。この問題の根底にあるのは、SEXとGENDERの両面での男女の非対称性とミソジニー……