サンガの寅さん

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モテたい理由 赤坂真理

p>12月の読書メーター
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モテたい理由 (講談社現代新書)モテたい理由 (講談社現代新書)感想
女の歓びは、誘惑し関係の決定者という受け身の攻撃性にある、という。受け身の主体性、といってもいいかもしれない。それに根差す関係には二つあり、まず、①モテ・結婚・家族ラインがあり、モテという関係性で優位に立つノウハウが起点となり、制度的に固定される。それはビジネス本にある「印象とコミュニケーションの調整能力」のようなもので、能力でしかなく、重要なのは伝えたいことや、調整すべき状況だ、と指摘する。つまり、モテてての報酬、結婚して家族となって得られるものが重要なのであって、制度・能力が重要なのではない。

 そして、②セックス・妊娠・出産ライン、関係へと開かれているセックスが起点になるが、重要なのは妊娠ー出産で、それは女性のみの特権的な体験であるから、そこへ結果する可能性としてのセックスが位置している、としなければいけない。その点からみれば、セックスの持つ価値は女性の方が圧倒的に大きいのだろう。また、本能を喪失しているヒトの場合、起源が生殖であるセックスはそこから離れるから、他者への侵犯、暴力性のみが強調されやすい、だから、関係性という女性的なもの、になる必要があるのだろう。いいかえれば、セックスとは女性的なものなのかも?

 ①という能力・制度があり、付随するものとして②と見られがちだが、望むべきものとして②が本質で①は二義的な社会的能力というか、制度でしかない。結婚・出産・家族を結び付ける根拠はなく、制度として特権化するのは見当違い、であり、それらの制度は、一点集中しやすい男にとって馴染みやすく、関係性は軽視されてしまいやすい。これを男のオタク性と呼び、そこで遊ばせてあげなければ、「関係」に脅かされ、関係から逃げるだろう、と興味ぶかい指摘がある。
読了日:12月01日 著者:赤坂 真理