サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

ベーシックインカム 派遣 AI

デヴィッド・クレーバー著『ブルシット・ジョブ』。これほど購入をためらった本は、今までになかった。だって、うすうす気づいていたけれども、それを突き付けられてしまうのには、腰が引けてしまうから。

で、読後感。私の仕事は、まるっきりの「ブルシット・ジョブ」 ではないようだけれども、どうしても当てはまっている要因に目が行ってしまいがちでした。予想通りだけれども、あまり気持ちのいいものではない。何せ当人も仕事に気乗りしていないのだから。

それでも、ブルシット・ジョブやブラック企業(この表現は適切ではないですが、ゴメンナサイ)で働かなければならないのは、収入・生活を維持してゆかなければならないから。それならば「ベーシックインカム」、と単純に考えられるが、「いきなり」では財源や労働者の分断、資本の強権化など解消すべき問題が多すぎる。

しかし新型コロナ禍での医療ひっ迫、ケア労働での負担増、リモートワークという選別などを懸案すれば、解決はベーシックインカムしかないようにも思える。

それへの重要な手引きとなるものを斎藤幸平は『人新世の資本論』で脱成長コミュニズムの柱として五つの指針を挙げている。

① 使用価値経済への転換  「使用価値」に重きを置いた経済に転換して、大量生産・大量消費から脱却する

② 労働時間の短縮  労働時間を削減して、生活の質を向上させる

③ 画一的な分業の廃止  画一的な労働をもたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる

④ 生産過程の民主化  生産のプロセスの民主化を進めて、経済を減速させる

⑤ エッセンシャル・ワークの重視  使用価値経済に転換し、労働集約型のエッセンシャル・ワークの重視を

どれをとってみても簡単に実現できそうもない。それでもこれらの触発されて、あるべき労働のあり方を考えてみた。(非労働者には、貨幣よりも社会保障の拡充のほうが適切だと考えている)

すべての労働者を派遣労働者としての登録制とし、その時点でベーシックインカムの権利を得る。もちろん派遣業務に携わるのは営利企業ではなく、公営のものでなくてはならない。そして、派遣施設は労働者のつながりの機能(横断する労働組合)も有しており、「参加」の場としてひらかれていなければならない。しかし、「フリーライダー」という心配もあろうけれど、長期間その状態でありつづけるのは精神的に持たないだろうし、あり続けれたならば、それはそれで才能なのだろう。とりあえず「脱生産性」視点で……。

次に、「AI」化。もちろん単純労働として分業化されている職種はもちろんだが、多くの事務・管理業務もAIのほうが適切にこなすだろう。

そして何より管理職、経営者・資本家などは真っ先にAI化すべきでしょう。彼らの仕事は同じ業界でのパイの取り合いや余計な需要の掘り起こし、供給の拡大にすぎない。そして彼らの収入に比べたら設備費など大した金額ではない。また、AIのほうが社会全体にとってよりよい判断を下すだろう。そうなれば、労働者(生産者)に選ばれない企業が破綻してゆく。ただ問題は、上記の地位にある者たちは社会的強者で、たやすく地位に伴う特権を手放すとは思えない。「分断」などの危機意識を共有することは可能だろうか。

生活への不安がなくなり、強欲資本(主義)に加担ている者たちから解放されれば、「使用価値経済」への転換も可能になるだろうし、また、エッセンシャル・ワークが重視される社会が実現し、私たちも「感謝」だけでなく「参加」することが可能になる。

最後に、そこまでこだわる必要はないかもしれないが、エッセンシャル・ワークという呼称は基準があいまいだし、「生産性や貨幣で数量化」の可能性も感じてしまう。以前も述べたように、家事や育児、近所の掃除、頼まれものなどの無償の有意義な労働も含めて、「シャドー・ワーク」とすることを提唱します。