サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

受信料

2016年の「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターに続いて、「ニュースウォッチ9」の有馬嘉男キャスターが降板されるという。共に外部からの圧力が云々されているが、優秀なキャスターの降板に、残念である以上に、何らかの影響力によってなされたのであるならば、憤りと脱力感を持つ。
そして、2023年からの「受信料値下げの発表」である。

……07年、第1次安倍政権下で総務相を務めていた菅氏は、放送法を改正して受信料の支払いを義務化する見返りに「2割の値下げ」をNHKに求めた。橋本元一会長(当時)が結論を出すまでの時間を求めると、菅氏は会見で、「そんな時間をかける必要は全くないと思う。もっと早く結論を出してほしい」と追い立てた。
 ……
 その菅氏を首相として誕生した政権で、NHKへの圧力が強まるのは必至だった。関係者によると、前田会長と武田氏は繰り返し、電話などを通じて協議した。総務省幹部によると、コロナによる減収などで収支の見通しが立たないなどとして、24年度からの値下げを提案したNHK側の案に対し、武田総務相側は中期経営計画の発表直前まで「何度も突き返した」という。
 ……
  武田氏は2月2日の会見で、受信料額を含むNHK予算案は、放送法に基づいて総務大臣の意見を付して国会の審議を受けることになっているとして、「受信料の水準について私が意見を述べることは『介入』に全く当たらず、ごく当たり前のこと」と述べた。
 これに対し、山田健太専修大学教授(言論法)は、放送法は提出された予算や計画に疑義がある際に、確認のために総務相が意見することを想定しているとして、「通説ではNHKの経営計画などに口出しをするといった『調整権』はない」と指摘する。「放送法を誤読、曲解しており、所轄官庁の長として失当ではないか」と話す。
 ……
  受信料は、公共放送として、政府やスポンサーなどの圧力を受けずに番組をつくるための制度だ。この制度によって、NHKは視聴率などを気にせず、社会性が高いドキュメンタリーや教育や福祉の番組などを作ることができる。
 「なぜNHKが視聴者から受信料をもらえるのかといえば、それはNHKが国営ではなく公共放送として信頼をされているという前提があるから。NHKが政府に従っているように見えることで、受信料制度自体に疑義を生じさせてしまう」
     朝日新聞デジタル 21/03/26

 

 気づいた点を挙げてみると、

  1. NHKは「半官半民」の「公共放送」であるが、これは財政面だけのことにすぎず、私たちは受診料を払っているだけ。
  2. 放送法では受信料は義務化されておらず、受信者の良心に基づくものなのだろう。
  3. 「公共」とは「参加と自治」という下からの運営を根拠としなければいけない。
  4. 政府による出資とはいっても、その原資は税などの私たちの負担。
  5. 「公共放送」は視聴者が維持し守り、運営側は良心に基づいた放送で応じる。それが忘れられれば形骸化してしまう。


 では民放での「受信料」に相当するものはなにか。スポンサーによる広告費になるだろう。それは企業の良心からのものではなく、利益からねん出されていて、企業にとっての経費で処理される。その利益は私たち一般消費者が負担したものであるから、NHKの「受信料」との違いは負担金額が明確であるか、でしかない(「公共」ではないから、口を出す)。まして、(本当にその商品を多くの人に宣伝したいか不明な)著名人の(庶民の金銭感覚からかけ離れた)CM出演料も私たちが負担している。

それにしても、自ら利用せず、人にすすめようとも思わないものをお金をもらって宣伝するなんて、まさに、ブルシットジョブ、だな。そして、それで成立している放送番組とは。