サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

この国難の時期になぜ

今の状況は「世界難」としか形容できないものだが、国連主導での全世界規模で対応してゆくのは、各国独自の制度・体制などがあるので不可能。だから、これを「国難」として各国が対処してゆくしかない(当然良心による協力体制は必要)。わが国では安倍晋三首相をリーダーとして内閣を中心に与野党を超えて議論し、統一された意図をもって(自治体も含め)対処してゆかなければならない。新たな感染者は減少しているが、その影響による危難も含めて「対策」はますます重要になってくる。それはあらためて述べるまでもなく、多くの人が同意するだろう。しかし肝心の「政府」がその意識を持っていないのでは、と不安になる。

例えば、「検察庁法改正案」である。なぜこの時期に成立を目指すのか理解できない。野党も同じ土俵に上がるのではなく、緊急性のゆえんは、と土俵そのものを疑えばいいだけなのに。

せっかくなので、問題視されている「検事長定年延長」にまつわる事項を『WEB特集 揺らぐ“検察への信頼”~検事長定年延長が問うもの』NHKニュース3月25日・『いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか』徐東輝(とんふぃ)note・『(時時刻刻)検察人事「介入」疑念拭えず 森法相答弁 定年延長、基準示さず』朝日新聞5月16日を引用して整理してみる。
引用元の表記は各(N)(T)(A)とする。

 前景
黒川弘務東京高等検察庁検事長 1957年2月8日生
稲田伸夫検事総長 1956年8月14日生
定年 検事総長は65歳、それ以外の検察官は63歳から65歳で統一へ
黒川検事長の定年の半年延長が1月31日に閣議決定された。
可決後の改正案の施行日は2022年4月1日

 「三権分立が脅かされている」という懸念について
検察庁法務省に属する行政機関であるが、
[他方で、検察官(ママ)とは、準司法的作用も有する組織であり、裁判所との関係では、検察官が訴追しない刑事事件は(極めて例外的な場合を除いて)司法の場に置かれないわけです。したがって、やはり冒頭に述べたとおり、検察庁の独立性は適切な司法の機能に繋がるわけです](T)
という説明が必要だ。司法権とは裁判所が担うものであり、その良心が機能している限り脅かされないが、訴追の決定は検察(の良心)の判断による、という懸念なのである。

 黒川の定年延長への疑問
[なぜ定年を延長することができたのか。政府は検察庁法ではなく、定年延長が可能な国家公務員法の規定を適用したと説明しています。
国家公務員法の定年延長が審議された昭和56年の国会では人事院の幹部が「検察官はすでに定年が定められており、国家公務員法の定年制は適用されない」と答弁していました。
……
政府は「検察庁法を所管する法務省が適切に法解釈を行いそれを政府として是とした。勤務延長させると法務省から建議されたことを決定した」としています](N)
定年延長そのものには賛同するが、「法務省が適切に法解釈」を行ったにしても、解釈変更が強引すぎる。

 定年延長の根拠
[安倍晋三首相は、この日の参院本会議で「要件は事前に明確化する」とし、「内閣の恣意(しい)的人事が行われることはない」とも強調した](A)
要件というのは65歳の定年からの3年の勤務延長に関するもの
[2020年春版の(検察庁法の)改正案の内容
国家公務員法の改正案で出てきた「役職定年制」(管理職については平の公務員に戻ってもらう)というのが第4項に定められています。ただし、特例として、内閣の定めるところにより、次長検事検事長は引き続きその職位で仕事ができ(第5項)、またこれを定年までさらに延長することができる(第6項)とされています](T)
役職定年制での特例事案が問題視されている。
[ だが、首相がいう「要件」は、改正案では「内閣が定める事由」「法相が定める」と書かれているのみで、野党側は将来の政権への「白紙委任」になると批判している。後藤氏は同委で、「どういう場合に認めるかの基準を明確化することが必要だ」と迫った。
 森氏は、一般の国家公務員の判断基準である「人事院規則」に準じて、検察官の基準も定めると説明。規則は検察庁法改正案と一本化されている国家公務員法改正案に合わせて作成されるとみられ、森氏は「新たな人事院規則がないので、具体的に全て示すのは困難だ」と語った](A)
白紙委任では説得力がない。

 人事に関して
[一般の検事の任命権は法務大臣が、検事総長のほか全国に8か所ある高等検察庁のトップ検事長などの任命権は内閣が持っていますが、実際には検察側が作成し、総長の了承を得た人事案を大臣や内閣が追認することが「慣例」とされてきました](N)
内部だけでの決定では公明性に不安にも感じるが、公平・公正性を考え合わせるならば微妙な問題だ。
[人事院は定年延長を認める例として
『名人芸的技能を要する職務に就いている場合』
『離島勤務で欠員補充が困難な場合』
『大型研究プロジェクトチームの構成員で退職によって研究の完成が著しく遅延する場合』などを挙げています](N)
「役職定年制」でほぼ対応できるのでは?

 

モリ・カケ問題などで不信視されているなかで、「検察庁法改正案」なんて政治手腕のまずさばかりが目立ち、いらぬ詮索を受けるのはわかりきったことであるのに、これも「なぜ?」