サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

日本学術会議への期待

日本学術会議について、最近、わたしたちの政治参加の可能性を、大きく広げるものなのでは、と考えるようになってきました。

日本学術会議は1949年1月内閣総理大臣所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立。その役割は
 政府・社会に対して日本の科学者の意見を直接提言
 市民社会との対話を通じて科学への理解を深める
 地域社会の学術振興や学協会の機能強化に貢献
 日本を代表するアカデミーとして国際学術交流を推進
としている
  日本学術会議ホームページより
  
以下はWikipediaからの抜粋を中心に。

科学技術庁や科学技術会議の設立に伴い、政府への影響は低下していき「政策提言機関として十分力を発揮したのは1970年代まで」といわれている。

2004年の法改正後、2005年からは、210名の会員と約2000名の連携会員で構成されており、いずれも任期は6年で、3年ごとに半数が任命替えされる。事務局には50名のスタッフがおり、任命は、現役の会員・連携会員からの推薦から選考委員会・分科会による選考を経て、内閣総理大臣が任命している。

2014年1月大西隆会長は「他制度より優位性を持つか否かは、現会員・連携会員による推薦及び選考が適切に行われることに掛かっている」と記している。

身内びいきへの懸念、ですね。

運営費は全額国庫負担で、約10億円であり、全米科学アカデミーは1997年の時点で約210億円の運営費に対して約8割が連邦政府と行政レビューや答申の契約による公的資金であり、英国王立協会はは2013年4月からの1年間で約93億円の収入のうち約63億円が公的資金であった。

全米科学アカデミーや英国王立協会は国庫負担ではなく、公的資金であることには、政府(内閣府)の一機関ではなく、独立した公的な機関だということなのだろう。全米科学アカデミーが「行政レビューや答申」の契約によって資金をえているのは、ある政策への分析・評価や、公的機関が立案するなどに際して求められた必要なデータ・助言などを提出する契約によって資金をえている、ということなのでしょう。

その日本学術会議ですが、その名称のみは知っていましたが、注目するようになったのは、皮肉にも、2020年10月1日に推薦された105名のうち6名を、当時の菅義偉内閣総理大臣が任命しないと発表された、件からです。任命拒否が問題視されてくると、自民党は「改革に向けた提言」を表明しました。それはおおよそ、

 政府や行政が抱える課題認識、時間軸を共有し、実現可能な質の高い政策提言を行う。

 科学の独立性、政治的中立性の維持のために独立法人化が望ましい。

 情報発信のフォローアップで、政策らへ反映させるための工夫、取り組みを行う。

 政府や民間からの委託研究で組織の活力を高める。

 第三者機関による推薦なども視野に入れる。

という点を強調しているように思われる。

つまり、政府や行政に対して、のものであり、より大胆に産学連携をすすめてゆく、という趣旨だと思う。野党や市民団体に対してはどうなのでしょうか。

1996年、団まりなが『生物の複雑さを読む』(平凡社)のあとがきでの書かれている。

……アメリカでは研究者の業績が多数の同業者に評価されるのに対し、日本では、採取的評価は役所(文部省)がおこなう。大学や研究所も、講座増、機構改革、新設などの折には役所の認可を受けなければならない。とくに現在は、教養部廃止、大学院大学化とトップ・ダウン型の改革の嵐がふき荒れている時代である。認可の担当はもちろん学問とは何の関係もない人物であるうえ、申請書類には多分野の学者や研究者が含まれるので、その評価にはそれぞれの専門分野の人間が委託を受ける。しかし、何事にも判断の基準を隠すことを旨とする日本の役所のこと(民は依らしむべし、知らしむべからず)であるから、委託する人数は少ないほどよい。たとえば生物学では四人である。この多様にして細分化された生物学の全分野を通じてである。学問内容の評価が不可能なことは、この評価体制を見ただけでも明らかである。

この体質は今も変わらず、というかそこへ居直っているようにさえ思う。マイナス要因であるのに、その自覚が見受けられません。

繰り返しますが、科学の独立性・政治的中立性をいうのであるならば、野党や市民団体へも開かれた組織でなければいけない。