サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

ロシアによる「独立国家の承認」ってどういうこと?

ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナの東部2州のうち、親ロシア派が事実上支配している地域について、独立国家として一方的に承認する大統領令に署名しました。
ロシアがこの地域への影響力を一段と高めることに、欧米の批判がさらに強まるとみられます。

ロシアのプーチン大統領は21日、クレムリンで緊急の安全保障会議を開きました。

この中でプーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の親ロシア派が事実上支配している地域について、ウクライナ政府側が停戦合意を守らずに攻撃を続け、治安情勢が悪化していると主張し、強く非難しました。

         NHK NEWS WEB2022年2月22日 7時59分

国際情勢について分析できる素養も情報もありませんが、一連のウクライナをめぐる事態は不可解で、当事者たちの意志から離れてしまい、現状にとらわれて後手後手に展開しているように思えてならないのです。

ウクライナについては、2014年に西側寄りの政権が誕生し、それをきっかけとしてロシアがクリミア半島を併合したときに、中公新書の黒川祐治著『物語 ウクライナの歴史』を読んだときに触れたくらいでしかありません。ちなみに所持しているのは2014年3月30日の3版で帯に「混迷するウクライナ情勢を知るための一冊 ロシアが影響下に置こうとするのはなぜか?」とあります。

同書によりますと、〈本書でウクライナ氏という場合、ウクライナ民族の歴史というよりも、ウクライナの土地をめぐる歴史という視点から書いた〉とありますように、ほとんどの時期は独立したものではなく、領有されていた土地という興亡の歴史です。その歴史を簡単に記せば、〈キエフ・ルーシ公国は、一〇~一二世紀には当時のヨーロッパの大国として君臨し、その後のロシア、ウクライナベラルーシの基礎を形作った。その点からすれば、ウクライナは東スラブの本家筋ともいえる。ところが、その後モンゴルの侵攻などでキエフが衰退したのに対し、いわば分家筋のモスクワが台頭し、スラブの中心はモスクワに移ってしまった。ルーシ(ロシア)という名前さえモスクワに持っていかれたのである。したがって自分たちの土地を表すのにウクライナという名前を新しく作らなければならないほどである。歴史のうえでもキエフ・ルーシ公国は、ウクライナ人の国というよりは、モスクワを中心とするロシア発祥の国として捉えられるようになった〉とあるように、エルサレムのように領有・帰属の問題にもつながりそうです。

そして、黒海に面して開かれており、豊かな穀倉地帯でもあります。

しかし、ソ連時代にはスターリンの推し進める「農業集団化」の強制によって、政治の支配下に置かれ、農民は弾圧され大きなノルマを課せられました。〈一九三〇年のウクライナ穀物生産は二一〇〇万トンと……一九二〇年代の二倍であった〉そして不作の一九三一・三二年は一四〇〇万トンでした。〈こうして飢饉は一九三三年春にそのピークを迎えた。飢饉はソ連の中ではウクライナと北カフカスで起きた。都市住民ではなく食糧を生産する農民が飢え、穀物生産の少ないロシア中心部ではなく穀蔵のウクライナに飢饉が起きたということはまことに異常な事態である〉という一九二〇年代よりも生産高が大きいにもかかわらず大飢饉である、という悲惨な事態もありました。

どうしても二国間にある確執はなくならないのでは、と思います。ウクライナも政情は不安定で、いくら欧米と近づきつつあるといっても、同盟までには程遠い状況だと思います。ロシアは西側諸国との「つなぎ」としてウクライナを位置づけ、じっくりと戦略的であればよかったのかもしれません。なのにプーチン大統領は、NATO参加という机上の危機のために強硬な態度を示しました。これで新ロシア派以外では「親欧米」へと流れが大きく鮮明に表面化された、と見るべきでしょう。

そしてロシアは、独立国家として承認したことによって、何かあれば「集団的自衛権」を行使する言いわけにもなります。対してウクライナは、ますます「親欧米」の傾向が強まり………、どうなるのでしょうか。動き出した歯車がそれだけで勝手に動き続ける、という事態にならなければいいのですが。

プーチン大統領ウクライナに対して「早い目にくぎを刺しておく」というメッセージだけのつもりだったのかもしれませんが、予想外の強い反発にあいました。こうなってしまってはメリットはどこにもなく、コストを払っているだけです。そんなことは為政者たちは十分認識しているはずです。ホント「国際情勢」って不可解です、いや、「集団的自衛権」かな。