サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

自業自得

6月29日の読売新聞に「新型コロナウイルス感染は自業自得だと思う」という認識のあった割合が日本で高かった、 という調査結果を、三浦麻子・大阪大教授ら心理学者の研究グループがまとめたことに関する記事があった。以前に見たような気もしたので調べてみると、5月17日の神戸新聞に同様の記事があったが、この記事には接していない。ということは、「さもありなん」と思い込んで既視感にとらわれたのかもしれない。

この記事について両紙の文末にある三浦教授の発言の引用のちがいは興味深い。 「文化や制度の違いも含め、各国の差の要因を分析したい。ただ、一部の人の極端な意見が行動を伴うことで、実際以上に目立っている可能性も考慮すべき」(神戸新聞「日本ではコロナに限らず、本来なら『被害者』のはずの人が過剰に責められる傾向が強い。通り魔被害に遭った女性が、『深夜に出歩くほうが悪い』などと責められることもある。こうした意識が、感染は本人の責任とみなす考えにつながっている可能性がある」(読売新聞)

 

自業自得とは他人事で突き放したようなきついニュアンスがあるが、いつどこで感染するかわからないにもかかわらず、感染経路不明者などはどこか人と触れ合う中で感染者に接触していた経緯があるのだから、自業自得といえなくもない。わたしも感染はしたくないので不用意に街中へ出ない、飲み会に参加しない、濃厚接触は極力避ける、マスク・手洗い・検温などを気をかけているが、どこかに「わたしは感染しない」との根拠のない思い(正常性バイアス)があり、ゆるい日常生活をおくっている。もし感染したならば、感染したのは自業自得といえなくもない。

それを云うならば「自動車事故」も自業自得といえてしまう。わたしたちは自動車社会の恩恵にあずかっており、自動車が危険(走る凶器)なことも知っている。いつでもどこでも自動車が走行しているところでは自動車事故の起こる可能性があるのだが、それでもわたしたちはそのような場へ出かける。つまり事故の可能性を知っているのであるから、細心の注意をしておかなければならない。事故に巻き込まれるのはそれを怠っていたのだから自業自得、という論理まで成り立つ。まさかこのように考える人はいないだろうが、「新型コロナウイルス感染は自業自得だと思う」と考えている人たちは同じことを述べているのではないだろうか。