サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

新聞休刊日

昨日、二月十四日は月に一度の新聞休刊日でした。サクッと目を通すくらいなものですが、毎日の習慣になっているものがないと、なんだか落ち着きが悪い。これには何年たってもなじめません。

新聞休刊日は、新聞の輪転機などのメンテナンスを月に一度行うのと、販売店にも休んでもらうためだ(販売店の方々も月に一度のメンテナンス、と設備なみのあつかいであるとの悪意の解釈も可能です)、といわれています。ではなぜ各社一斉なの?それは人口の少ないところでは一つの販売店が各社の新聞配達を行っているから、と説明されています。人口の絶対数が少ないので、一紙当たりの購読数も少ないから、専属では収入が少なくなってしまい、維持できなくなってしまう、というわけらしいです。しかし、新聞社にとっては休刊日に大きなニュースがあれば、と不安なだけじゃないの、号外なんて抜け道もあることだし、と「強者の論理」と疑惑視しがちです。号外を配るのは誰?手当は出るの?

売店全社で休んでもらうって、そんなの、年中無休で交代で休みを十分にとっているところいくらでもあるのだから、好意の強要(自己満足)でしかありません(親方はこんな私たちのことを気にかけていてくれるのだ)。

問題視のあり方がズレているのです。販売店はご存じのように配達だけではなく、集金や営業のほか準備(折込チラシの仕分けだけでなく最近はビニールに入って配達されれくる)とサービス合戦も受けおっておられます。新聞が購読され、読者の手に届くのはこの方々のおかげです。このような重要の仕事のわりに収入が少ない、というのが一番の問題だと思うのです。収入に余裕があれば、人員も休暇も増やせます。けれど、下請け業務だろうから立場が弱い。

木下武男が『労働組合とは何か』(岩波新書 2021)で関西地区生コン支部での興味深い事例を紹介しています。

 生コンを売る場合、安く売ろうとする安値競争を規制すればよい。だが当然、価格を統制する価格協定は、カルテルとして独占禁止法によって禁止されている。しかし事業協同組合だけは、中小企業等協同組合法によって適応除外なのである。この法律のもとで生コン協同組合は共同受注・共同販売を事業として展開した。     (241頁)

このような上下の系列関係の上部には、大企業が位置し、利益を得ている。大企業に対抗して中小企業の結束をはかることをめざさなければならない。そこでは、関西支部の経験が教えているように、産業別組合の働きかけによって、中小企業の連携がなされることが重要だ。(267頁)

上部の発注者は同等に近い質のものであれば、当然安いほうを選びます。受注者はどうしても仕事が欲しいから安値競争になります。利益ぎりぎりの、新規にとっては、のちの付き合いを考えればたとえ少々の赤字になっても、と考えてしまいます。まして、新聞販売店では親会社の提示されたものを受け入れるしか方策はありません。間違っても発注者は、これぐらいの金額なら想定の利益が得られるし、この金額で、と折り合う姿勢をとることはないでしょう。従来の資本システムの中に位置付けを求めるのであれば、自らの利益の最大化を志向へと方向づけられてしまいます。

どうしても発注者は単独で、受注は事業協同組合による共同受注・共同販売、というシステムに方向転換しなければ、ますます持てる者は多くのものを手に入れ、他の者との分断がより明確なものとなってしまいます。