サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

生娘って時代劇じゃあるまいし

 暴言もここもでのレベルの「おバカさん」はあまり記憶にありません。

問題となった発言は早稲田大学の「デジタル時代のマーケティング総合講座」で起きた。当講座は4月から7月に80時間をかけて行われる社会人向けのプログラムで、受講費用は38万5000円。

開講初日の4月16日、対面授業でキャンパスに集った受講生たちに課されたのは、牛丼チェーン吉野家マーケティング課題の解決策をグループで話し合い、発表するというものだった。

講師は吉野家・常務取締役企画本部長の伊東正明氏。吉野家は18歳から25歳までの若い女性の集客に苦戦しており、こうした女性たちを取り込む施策を考えて欲しいと説明する過程で、伊東氏は「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら複数回発言。「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対食べない」と話していたという。

……男性客に対しても『家に居場所のない人が何度も来店する』という趣旨の発言がありました。
https://www.businessinsider.jp/post-253254

 不適切発言どころか暴言である、と言われていますが、発言内容はもちろんですが、マーケティングだけしか頭にない下劣な品性に、より不快感をおぼえます。この種の発言は、プライベートな、例えば飲み会なのではあるかもしれません。しかし、そういう場であっても「いやな空気」になってしまうか、聞かなかったこととして流されてしまう、こともあります。それを、公な立場で講座という場で発言する、という感性の持ち主です。そのような人物を取締役としている会社も、ビジネスにとらわれ過ぎて多方面への配慮がないのだ、と思います。

 少し発言内容に触れます。「シャブ漬け」とありますが、「化学調味料漬け」なのでしょう。化学調味料は習慣性がある、といいます。幼いころ祖母はよく「味の素はミーさん(蛇のことです)の目をつぶしたもの」と言っていたので、家にはありませんでした。そして、居酒屋などへ行くようになった年頃に、サッパリしようと考えて、漬物(当時は化学調味料がかけられていました)を食べたのですが、多くかかっているところのものを食べたのでしょう、いつまでも口に残って、気持ち悪くなった経験があったので、化学調味料に対して、敏感になっているのだと思います。今はどうかわかりませんが、「吉野家の牛丼」でも後味が悪かった経験があったので、一度しか行ったことがありません(よく行っていた「なか卯」は、それをうまく使われていたと思います)。

 「男に高い飯を奢ってもらえるようになると、絶対に食べない」、と言っていますが、「高い飯」と化学調味料使用の習慣性のある「ジャンク・フード」はまったく別のジャンルにあるのにもかかわらず、同一の基準で判断しています。両方を好む人はいくらでもいます。そして、当該氏は高収入であろうから、「高い飯」だって食べていたり、奢ったりしているでしょう。この発言から推測すると、自社の牛丼は、業務の一環として口にはするが、望んでは食べていない、ということになります。

 「家に居場所のない人が何度も来店する」、マーケティングを専門とする人の発言とは思えません。だって、吉野家での滞在時間は十分くらいのものだろうから(かつて私は、お酒を飲みに行った後、近所のなか卯牛皿とビール二本で一時間ぐらいぼんやりするのが好きでしたが)、時間つぶしにはなりません。ゆっくりするならコーヒーショップなどで過ごすでしょう。毎日、日に何度か立ち寄ることもできます。

 倫理面を問わなくても、いい加減な内容です。

 そして二月二十四日以降、「私はあなたであったかもしれない」という「他者への感受性」が問われているにもかかわらず……。