サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

2千年の王朝

麻生太郎副総理兼財務大臣が13日に福岡県直方市で開いた国政報告会で、日本について「2千年の長きにわたって一つの場所で、一つの言語で、一つの民族、一つの天皇という王朝が続いている国はここしかない。よい国だ」と述べた。
……14日の閣議後会見で麻生氏は「誤解が生じているのならおわびのうえ訂正する」と述べ、……
  (朝日新聞デジタル2020年1月15日)
  
またですか、情けない妄言と思っていただけだったが、今年は皇紀二六八〇年であるのに2千年というのは、歴史的にも神話的にも根拠がわからない。と、ふと気になった。

2千年前は、歴史的には弥生時代になり、後漢から「漢委奴{かんのなのわの}国王」という金印が光武帝から贈られたのが、紀元五七年とされており、邪馬台国でさえ三世紀ごろにあったとされている。

また、神話的にみれば、『歴代天皇総覧(笠原英彦 中公新書 二〇〇一)』を参考にすると、第十一代垂仁天皇の即位時くらいになる。ちなみに、第十二代景行天皇皇子が征西、東征を繰り広げた日本武尊である。

麻生大臣は何も考えずキリのよいところで2千年としたのだと思うが、これは安倍首相が掲げる「一億総活躍社会」と発想が似ている。日本の人口は一億二千六百万人余と報告されており、「二千六百万人」はどうなってしまうの?言うならば「一億三千万総活躍社会」でしょうと、違和感をおぼえる。スローガン的にとらえるだけで、よしとする危険性をそこに感じる。