サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

台風上陸の定義

かつて、二十年位前まではと思うが、夕立が過ぎれば熱さはやわらぎ過ごしやすくなったものだった。また、日が暮れてから寺町通を自転車に乗って丸太町通りを越して京都御苑の横にさしかかると、空気のちがいが感じられた。いつ頃から、なぜそのような「自然の涼」がなくなってしまったのだろうか、疑問に感じている。
かようなこともあって、坪木和久『激甚気象はなぜ起こる』(新潮選書 2020)を読んでみたが、悲しいかな、物理学や気象学の基礎知識を持たないものにとって専門的なことはほとんど理解できなかった(台風に国際名があることさえ知らなかった)。
さらに知らずにいて驚いたのは、

……日本の場合、1981~2010年の30年の平均では、台風の発生数は25.6個、接近数は11.4個、そして上陸数が2.7個である。さらに接近数は本土へのものと、沖縄・奄美地方へのものに分けられ、前者は5.5個、後者は7.6個である。ここで「接近」とは台風の中心が国内の気象官署のどれかから300㎞以内に入ることを指す。また、「上陸」とは台風の中心が、日本の主要四島のどれかの海岸線に達してはじめてカウントされる。沖縄本島をはじめとして主要四島以外の島に上陸しても、気象庁は「通過」と呼んで、上陸としてカウントしない。

                          (一六~七頁)


明言はしていないが、主要四島と面積で比較すれば、あまりにも小さい沖縄・奄美地方に1.4倍近い台風が接近しているのは、それだけ被害を受けるということでもある。なのに「上陸」しても「通過」としかみなされない。それに著者は理不尽さを感じているのではないだろうか。