サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

哲学・宗教

 佐藤優『世界のエリートが学んでいる哲学・宗教の授業』をパラパラとめくってみた。全十七講で237頁という書物であるので、テーマに踏み込んでというわけにはいかず、授業の要点を整理しただけのものであろう。
 私はそれほど佐藤優の熱心ではないが、『獄中記』以来の読者でもあるので、目次をみればだいたいの内容は想像に難くない。読書案内として読むべきであろう。ただ、カバー裏に記されている「学問とは、実学を身につけることです。哲学も神学も、実学です」という言葉にはなるほどと思った。
 たしかに、哲学・宗教は役に立つ。しかし即効性はなく、少なくとも年単位の熟成が必要になるという実学であって,効率重視の実用の学ではなく、あらゆる「学び」の礎《いしずえ》となっているもののことをいう。だからこそ「かかわり」を捉えようとする実学が重要なのである、という主張であろう。
 常々、大学の場で学問の実用性が大きく評価されるのに疑問を感じており、また人文系.基礎部門の軽視にも危機を感じていた。そこに「哲学・宗教は実学である」という発言である。
 そこで、全ての大学は哲学もしくは宗教系統の学部を持たなければならない。そして、学長はそれらの学部から選出されなければ「大学」として認定されない。という提言はいかが?