サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

組織が一番の問題でしょう

森喜朗内閣は内閣支持率が一割を切ってしまい、2001年4月26日に辞任し内閣総辞職している。しかしその後も、後任の小泉純一郎の属する森派の領袖として「存在感」を誇示できていた。そして2012年に政界を引退したが、影響力は無視できるものではなかったのだろう、様々な「名誉職!」に就任し、健在をアピールしていた、という印象を持っていたが、自らが前面に立つことはないだろうと思っていた。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長就任も、彼の「存在力」の活用という方向を持っていたのだと思う。それが徐々に、その場を支配している雰囲気になっていったのだろう。そして「女性蔑視」と目される発言。それは、現実の女性への蔑視というよりも「わきまえない意見を述べる者」を象徴させている「女性」(性別は問わず)というカテゴリーへの蔑視という問題だ。そして、

私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます。みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです。
 (スポニチ210204)

 
と述べている。

(多く場で)発言は「その場をわきまえ」ていないが、「組織委員会」(の女性)は我々の「役に立っている」と発言しているように受け取れる。(わきまえて、我々の役に立っている女性は名誉男性?)

そして、発言撤回、辞任表明、川渕三郎の後任辞退。笑えない喜劇のようだ。失礼な言い方だが、森は事態を理解できていないのでは?とさえ感じる。しかし問題は個人の資質に属するものと断罪するのでは、「間違った組織」のあり方を正すことができない。

4日午前11時過ぎ、森会長が到着した東京・晴海にある大会組織委員会事務局は張り詰めた空気だった。深刻な表情で武藤事務総長が言った。「会長、(辞任は)いけません」。毎日新聞のウェブ速報は午前10時5分に流れていた。「辞めるとまでは語っていなかったのだが、組織委の幹部らはそう受け取ったんでしょう。ただ実のところ、辞めようと腹をくくっていました。私の軽率な発言で海外にまで波紋を広げた問題が、身を引くことで収束するならいいじゃないか、と。女房に『辞めるよ』と言い残して家を出たんです。辞めるだろうな、と女房はあの時、思ったでしょうね」
  (毎日新聞210207)

 オリンピックなどには全く興味がないので、ニュースはフォローしていないが、この委員会には透明性があったのだろうか、と疑問に思う。わきまえ、つまり「忖度」で運営されているのだろうか。女性による「その場をわきまえない」と受け取られる発言(森発言の私なりの解釈)だけでなく、五輪に批判的な意見を持つ方(望んでもいないのに負担・負荷を負っている)を招いて、その意見をうかがう、という姿勢を持つことが、「五輪開催」へ向け(開催断念の決意を含め)ての真摯な姿勢だと思う。トップを換えて「おしまい」ではね。