サンガの寅さん

中学生が理解、批判できる、をモットーとしていますが、記事が健全な中学生には、不適切な内容のこと、もあります

トランプ氏を選択したアメリカ社会

 エマニュエル・トッドは『問題は英国ではない、EUなのだ』(文春新書)で、
 
   その背景にあるのは、行きつくところまで行きついたグローバリゼーションへの反発でしょう。ご存じのようにアングロサクソン国家のイギリスとアメリカは、グローバリゼーションを引っ張ってきたトップとっぷ二カ国です。結果として、経済的格差が最も大きくなっている国でもあります。

   イギリスは、いわゆる「サッチャリズム」と呼ばれる市場原理主義的な経済政策を、アメリカのレーガン政権に一年先駆けて導入しました。……
                   (略)
   自らが世界に打ち出したグローバリゼーションにもっとも苦しめられた結果、旧来的なナショナルな方向へバランスを戻したわけです。
                                 (65-66頁)
                                  
 と、英国EU離脱を評価している。11月8日に次期アメリカ大統領としてドナルド・トランプ氏を選んだアメリカ社会(選挙民)にも、そのような理不尽なまでの「格差」の実体があってのことで、一連の流れとしてとらえられよう。
 ただ、トランプ次期大統領の政策がどのようなものになるかは不明だが、ニュースでは内向き傾向が批判されている。しかしアメリカには「モンロー主義」の伝統があり、かつての国際連盟にも加盟していなかったのだから、「アメリカ・ファースト」に軌道を戻した、ともいえる(「身内びいき」や「WASP・ファースト」という危惧もありそうだが)。
 アメリカ・ファーストという内向き志向といっても、国益を考えれば自由と民主主義を掲げる限り、他国の評価は無視できないはずだ。
 
 余談になるが、山口県長門市で12月に行われる日露首脳会談がおこなわれる。言うまでもなく安倍晋三首相の地元だ。国政にたずさわるものとして、まして一国の首班であるならば、絶対開催してはならない場所、と考えるのは私だけ?国家という内向きにさえ至らない、自己愛的な体制。やはり我が国は民主的民度において劣る。